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2025.03.24

東南アジアのデジタルマーケティング タイ編

こんにちは、ブレイク・フィールド社です。
今回は、Break Field(Thailand) Co., Ltd.の島田社長に、タイのデジタルプロモーションの現状についてお伺いしました。

タイ市場の今

Q:タイの経済規模はどのようになっていますか?

タイは東南アジアで第2位の経済規模を誇り、2023年の名目GDPは約17.9兆バーツ(約77兆円)に達しています。人口約7185万人のうち、88%もの人がインターネットを日常的に利用しており、携帯電話の契約数は人口の136%と、1人2台以上の端末を所持していることになります。

タイでインターネットの利用者が多い背景には、手頃な料金の通信プランが普及していることや、生活の中心がスマートフォンになっていることが挙げられます。そのため、デジタル広告市場も活気を帯びており、検索広告やSNS広告、動画広告などで高い費用対効果が見込めるのが特徴です。

Q:新型コロナウイルスの影響はどのように表れていますか?

2020年以降、観光業は大きな打撃を受け、2023年になってもコロナ前の水準には戻っていません。自動車産業も苦戦が続いており、家計の借入額が増えていることや、銀行のローン審査が厳しくなっていることが、市場の回復を遅らせている要因となっています。 ただし、コロナ禍をきっかけに、人々のオンライン利用時間が大幅に伸び、SNSやネットショッピング、スマホ決済の利用が一気に広がりました。

Q:タイの消費者行動はどのように変化しましたか?

コロナをきっかけに、ネットショッピングやスマホ決済の利用が急速に広がりました。特に、SNSで直接商品を買う「ソーシャルコマース」が当たり前になっています。金融アプリやQR決済、ネットバンキングなども広く使われており、タイの人々はデジタルサービスをとても自然に受け入れています。 面白いのは、日本と比較して、気になった広告や投稿をすぐにクリックする傾向が強いことです。企業側がうまく仕掛ければ、口コミで広がりやすい土壌があるということです。ただし、最終的な問い合わせや購入につなげるには、タイの文化に合わせた内容や、きめ細かいフォローアップが欠かせません。

デジタルマーケティングの最新動向

Q:インターネットとスマホの普及率を教えてください。

2024年現在、タイのインターネット普及率は88%まで広がっています。興味深いのは、1日の平均ネット利用時間が9時間を超えていること。そのうち5時間以上をスマートフォンで過ごす人が大半を占めています。5Gの普及も進み、動画視聴やライブ配信、オンラインゲームなど、データ通信を多く使うサービスへの需要が高まっています。

Q:検索利用状況 (Google)について教えてください

検索市場ではGoogleが圧倒的な強さを見せています。Google検索広告の単価は日本の半分以下というケースも多く、分野によっては非常に効率の良いマーケティングツールとなっています。

Q:各SNSの利用状況を教えてください。

SNSは人口の約7割が利用しており、特にFacebook、YouTube、LINE、TikTokの影響力が目立ちます。
Facebookは若年層から中高年層にも浸透し、幅広い層にアプローチしやすい特徴があります。
広告のクリック単価も実際に運用してみると、商材にもよりますが、日本の10分の1ぐらいの印象です。
LINEはメッセンジャーアプリとして広く浸透しています。企業の公式アカウントを使った宣伝活動も一般的になっており、タイ版のLINE広告も日本よりかなり安価に運用できることが多いです。
TikTokは若者を中心に急成長していますが、最近では中高年層にも着実に広がりを見せています。急成長に伴い広告を出稿する広告主も急増しており、クリック単価も徐々に上がってきている印象です。

Q:動画利用状況(YouTube)

YouTubeは4420万人が利用する一大メディアです。1日2時間以上見る人も多く、音楽やバラエティだけでなく、教育コンテンツやニュース解説なども人気です。広告媒体としての価値も高く、様々な広告形式を組み合わせることで、効果的な宣伝活動が可能です。

デジタル広告費の傾向

Q:デジタル広告のトレンドについて教えてください。

タイのデジタル広告費は年々増加し、2023年には前年比14%増の2928億バーツに。2024年には3386億バーツを超えると見込まれています。特にSNS広告や動画広告への投資が目立ち、Facebook・YouTubeに次いでTikTokが広告媒体として急速に台頭しています。業種別では、自動車、化粧品、清涼飲料などの企業がデジタル広告に力を入れており、各社がターゲット層に合わせて複数のSNS広告を使い分けています。

Q:主要なデジタルプラットフォームと広告活用方法は?

FacebookやLINEなどのプラットフォームでは、細かなターゲット設定ができる広告メニューが充実しています。インフルエンサーとの相性も良く、商品レビューやライブコマースと組み合わせることで、高い反応を得られる事例が増えています。例えば、タイ国政府観光庁(TAT)はインフルエンサーを活用したキャンペーンを展開し、海外旅行客の呼び込みに力を入れています。

Q:タイのローカルメディはありますか?

タイならではの広告媒体として、pantipがあります。
Pantipは、タイにおけるオンラインコミュニティとして圧倒的なユーザー数と影響力を誇り、企業のマーケティング戦略において欠かせないローカル広告媒体として注目されています。
Pantip広告では、トップページやカテゴリページ、スレッド内など多彩な配置とPC・モバイル両対応で高い視認性を確保できます。さらに、カテゴリやタグ連動による的確なターゲティングも可能です。
Pantipの魅力のひとつに記事タイアップ広告があり、専属ライターが広告主の情報をもとに違和感なく訴求する記事を作成します。タイトルに【PR】を付与して広告であることを示しつつ、長期的な信頼獲得が期待できる点が評価されています。
広告料金は枠や形式によって異なり、トップページのバナーはPC版月額35000バーツ、モバイル版25000バーツ程度から。各ページ・スレッドには多様なプランがあり、記事広告は個別見積もりで柔軟に対応可能です。
Pantipは、タイでの広告戦略においてブランド認知や集客、エンゲージメント向上に高い効果を発揮する重要チャネルです。

Q:タイ市場におけるデジタルマーケティング戦略について教えてください。

タイ語や文化に合わせた現地化は必須ですが、それ以上に大切なのは「楽しさ」や「つながり」を重視したコンテンツ作りです。例えば、セブン-イレブン・タイランドのTikTokダンスチャレンジは、若者を中心とした参加型企画として大きな反響を呼びました。また、LINEマン(配達サービス)のInstagram投稿キャンペーンは、多くのユーザーの参加を集めることに成功しています。

タイ語での広告作成の注意点

Q:タイ語での広告作成の注意点について教えてください。

タイ語での広告展開で最も気を付けたいのは、適切な言葉遣いと文化への配慮です。タイ語は敬語とカジュアルな言葉の差が大きく、対象層に合わない話し方は不快感を与えかねません。また、声調を間違えたり、ネットスラングを不適切に使ったりすると、意図しない意味になってしまう恐れがあるため、ネイティブによる丁寧なチェックが欠かせません。

文化面では、宗教(特に仏教)や王室に関する表現には細心の注意が必要です。仏像を安易に商品イメージに使ったり、王室関連をパロディ化したりすることは、強い反発を招く可能性があります。その一方で、家族や仲間、思いやりといったテーマは共感を得やすく、温かみのある表現が好まれる傾向にあります。

広告表示では、誇大表現や虚偽表示は消費者保護法で禁止されています。インフルエンサーの投稿なども「PR」や「Sponsored」であることを明記する必要があります。また、タイ語特有の文字の組み方のルールを守り、行間やフォント、改行の位置などを工夫することも大切です。特にスマートフォンでの見え方を考えた柔軟なデザインは必須です。

タイ市場での広告運用上の注意点

Q:タイ市場での広告運用上の注意点について教えてください。

現地規制と法律
タイの広告規制は消費者保護法が基本となっており、ウソや大げさな表現は厳しく取り締まられています。医薬品、お酒、タバコ、ギャンブルなどの分野では、広告に厳しい制限や禁止措置があります。SNSでもこれらの規制は変わらず、違反投稿は厳しく取り締まられるため、広告主やインフルエンサーは各プラットフォームのルールとともに、タイの法令もしっかり守る必要があります。

2022年に始まった個人情報保護法(PDPA)も重要なポイントです。ユーザーのデータを広告に使う場合、事前の同意取得や利用目的の説明が必須となっています。違反すると高額な罰金や刑事罰の対象となる可能性があるため、リターゲティング広告などでの個人データの扱いには十分な注意が必要です。

インフルエンサー広告でも、PR表記の無い隠れ広告は消費者保護の観点から問題視されています。特にギャンブル関連の紹介や健康食品の誇大広告では、インフルエンサー本人も法的責任を問われるケースが出ています。これまでグレーゾーンとされていた分野も、最近は取り締まりが厳しくなる傾向にあるため、企業は法務部門とよく相談し、法令順守を徹底することが求められています。

まとめ

タイのデジタル市場は、スマートフォンとSNSの高い普及率を背景に、めざましい発展を続けています。お客様と直接やり取りができる一方で、広告表現やインフルエンサー起用には文化的・法的な配慮が欠かせません。タイ市場で成功するには、これらのリスク管理と現地化戦略をうまく組み合わせることがカギとなっています。

出典:DataReportal(2024)「Digital 2024: Thailand」
出典:bangkokpost
https://www.bangkokpost.com/business/general/2265383/thailands-digital-dependence-revealed-in-new-internet-study
出典:pantip公式
https://pantip.com/advertising/index_ad
https://pantip.com/advertising/advertorial
https://pantip.com/advertising/activities

タイでのクロスボーダーマーケティングについて

タイのデジタルマーケティングでは、以下の3つの要素が成功の決め手となっています:

  • スマホを中心とした消費者行動の理解
  • SNSの効果的な活用
  • 適切な現地化戦略

ブレイク・フィールド社では、以下のサービスを一貫してご提供しています:

  • 現地オンラインリサーチ
  • Facebook公式ページの運営代行
  • LINE公式アカウントの構築・運用
  • KOL(Key Opinion Leader)を活用した商品プロモーション

当社のタイ語ネイティブチームが、現地の文化や広告規制を踏まえたプロモーション施策をご提案させていただきます。

タイ市場への進出やマーケティング施策についてご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

企業情報:Break Field(Thailand) Co., Ltd.

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