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2025.07.22

タイ インフルエンサー市場の実情と成功事例

こんにちは、ブレイク・フィールド タイランド 代表の島田です。
タイ市場は文化や購買行動の特性が日本とはまったく異なることで知られています。SNSの使われ方、購買決定までのプロセス、そして何より“心が動く瞬間”の感覚まで、現地ならではのローカル文脈に即したマーケティング戦略が求められます。

中でもインフルエンサーマーケティングは、タイで急速に浸透している手法のひとつです。
その市場規模は、2024年には6,878万USD(約103億円相当)に達し、今後も急成長が見込まれています。
特にTikTokをはじめとする動画プラットフォームでは、日常的な口コミからライブ配信による購買促進まで、ユーザーとの距離の近さが購買行動に直結する傾向が強まっています。フォロワー数に関わらず、共感力やリアルな体験談を持つ“等身大の声”が求められているのも特徴です。

今回は、タイで数多くのマーケティング施策を成功に導いてきた、The Platform Group CEOであり、タイ広告協会の副事務局長も務めるPoiluang Konsongsaen氏に、タイ市場におけるインフルエンサーマーケティングの実情についてお話を伺いました。

インフルエンサー施策や動画コンテンツの実例を交えながら、成果を生むローカル戦略の要点に迫ります。



[1] タイにおけるインフルエンサー活用のコツは何ですか?

インフルエンサーというと、日本では著名人や芸能人を想像しがちですが、タイではその定義がもう少し生活者寄りにシフトしています。実際に購買のきっかけを作っているのは、コミュニティ内で自然に信頼されている人たちです。

ある事例では、学校内で人気のある生徒グループ、いわゆる“スターグループ”に試供品を配布したところ、その口コミが生徒間で広がり、結果として新たな販路が生まれたそうです。大事なのは「誰が語るか」であり、有名人よりも“自分の延長線上にいる誰か”の発信の方が影響力を持つ。それがタイ市場の特徴でもあります。

[2] タイ市場での購買行動とSNS活用について、日本とのギャップはありますか?

日本企業がタイで苦戦しやすいのは、自国で成功したモデルをそのまま持ち込んでしまう点にあります。タイ人の購買行動は、日本人とはまったく異なり、SNSの使い方もかなり独特です。

たとえば、TikTokはもはやエンタメではなく情報収集や検索のツールとしても使われています。さらに、タイ語の表現は日々進化しており、スラングや言い回しがどんどん変化していきます。そのため、静的なSEOだけでは対応できず、リアルタイムで文脈を読み取る力が求められます。

また、製品カテゴリによってもジャーニーの長さはまったく異なります。お菓子のように衝動的に購入されるものもあれば、美容家電のように慎重に比較されるものもある。こうした違いを理解したうえで、適切なチャネルやメッセージを設計する必要があります。



[3] タイ市場で“ユーザーに響く”動画・コンテンツの共通点を教えて下さい。

最近のタイでは、動画のクオリティそのものよりも、親しみやすさや生活に近いリアリティが重視される傾向が強まっています。これまでのように、高額なTVCMを作って一方的にメッセージを発信するというやり方では、なかなか共感を得られません。重要なのは、そのコンテンツが「誰の視点で語られているか」、そして「どの場面で視聴者に届くか」です。

特にTikTokやFacebook Reelsのような短尺動画では、派手な演出や美しい映像よりも、ユーザーの“今の気分”や“身近な課題”にフィットするメッセージのほうが強く響きます。生活の中に自然と入り込むような、ボトムアップ型のアプローチが効果的なのです。

[4] 身近なコンテンツ制作での具体的な成功事例を教えてください。

印象深かった事例として、ある缶詰魚ブランドのプロモーションが思い出されます。当初は、有名人を起用したテレビCMを制作する予定でしたが、事前に実施した消費者調査で、最も影響力があるのは“街の食堂で料理を提供するおばさんたち”であることが分かりました。

そこで、当初の予算を見直し、全国のローカル食堂にアプローチ。300以上の店舗にブランドカラーを使った装飾や特別メニューを展開してもらい、店主たちの語りをそのまま動画コンテンツとして制作しました。こうしたリアルな語りと生活感のある接点が消費者に深く刺さり、結果として売上は大きく伸び、業界でも高く評価されるキャンペーンになったといいます。

有名人の言葉よりも、日常に近い人の声のほうが信頼されるという、タイ市場の本質を突いた事例です。

[5] クリエイティブ設計で重視するポイントを教えて下さい。

タイの人々は、笑いやユーモアに対する感度が非常に高く、少しの“クスッ”とする仕掛けがコンテンツの印象を大きく変えます。いわゆる“身内ネタ”やローカルな文脈も好まれ、これらが自然に盛り込まれていると、広告というよりも会話として受け取ってもらえるのです。

さらに、同じコンテンツでも媒体によってテンション感や尺が大きく異なるため、あらかじめ複数のプラットフォームごとに最適化されたバリエーションを用意しておくのが望ましいといいます。一つの素材を流用するのではなく、それぞれの場に合った形で届ける。この“合わせにいく設計”が、タイ市場では特に重要です。

[6] タイ進出を検討する日本企業へのアドバイスがあればお願いします。

タイでは、今もなお日本製品に対して「品質が良い」という信頼は根強くあります。ただ、それだけでは売れません。消費者にとってその製品が“日常のどんな課題を解決してくれるのか”を、文化的な文脈の中で明確に伝える必要があります。

そのためには、タイ語特有の表現やSNSでの言語感覚、そして人々の行動パターンを深く理解しなければなりません。特に重要なのが、広告ではなく“誰がどんな言葉で語るか”にこだわること。信頼される語り手を選び、生活導線の中に自然と入り込むような設計をすることで、ようやくタイの市場で“選ばれる”ブランドになれるのです。



まとめ

タイ市場で結果を出すためには、単に情報を届けるだけでは足りません。そこにある文化的背景や生活のリアル、言葉の温度感を理解したうえで、「どう語るか」「誰が語るか」「どの瞬間に届くか」を丁寧に考え抜くことが必要です。

実際にインフルエンサーを起用する場合、

ナノ層(フォロワー1 K–10 K)で1投稿 3,000THB〜5,000 THB(約13,000円~22,000円相当)

マイクロ層(10 K–50 K)で 5,000THB〜10,000 THB(約22,000円~44,000円相当)

ミッドティア(50 K–500 K)で 10,000THB〜30,000 THB(約45,000円~133,000円相当)

マクロ層(500 K–1 M)では 30,000THB〜100,000 THB(約133,000円~443,000円相当)

が相場です。

現地の空気を読み取りながら、生活者の視点に寄り添ったコンテンツ設計ができるかどうか。それが、タイで“売れる”ブランドへの第一歩になるはずです。

出典

https://www.insg.co/en/influencer-marketing-thailand/

https://www.nationthailand.com/news/general/40041471

タイでのクロスボーダーマーケティングについて

タイのデジタルマーケティングでは、以下の3つの要素が成功の決め手となっています:

  • スマホを中心とした消費者行動の理解
  • SNSの効果的な活用
  • 適切な現地化戦略

ブレイク・フィールド社では、以下のサービスを一貫してご提供しています:

  • 現地オンラインリサーチ
  • Facebook公式ページの運営代行
  • LINE公式アカウントの構築・運用
  • KOL(Key Opinion Leader)を活用した商品プロモーション

当社のタイ語ネイティブチームが、現地の文化や広告規制を踏まえたプロモーション施策をご提案させていただきます。

タイ市場への進出やマーケティング施策についてご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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